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フェなのSS『ストロベリーミルク』

ストロベリーミルク





それは、数学の授業中、黒板から目をそらした時に、君がいない空間を見つけてしまった。
その空間を知覚したら、そのブランクをそのまま飲み込んで自分の心にまでぽっかり穴が空いたみたいな、不安な気持ちになってしまった。

どうしてだろう。
何もおかしなことはない。
こんなふうになのはが学校にいない日はいつも、彼女はどこかの世界のどこかの空で、空の青によく映える白いジャケットをなびかせている。
きっとそれは昨日も、今日も。
いつもどおり、あたりまえのことなのに、一体なにが不安だというんだろう。


委員会を終えて鞄をとりに戻ると、教室の中はからっぽだった。鞄はまだいくつか残っていた。

フェイトは、まっすぐ、なのはの席へとすすむと、1日主の不在だった机の前に立った。いつもなのはと話すとき、自分の立つ場所だ。
だが、そうしたことで余計に寂しいような気持ちになって、なんとなく、その席に座ってみた。とりあえずその空間は目に入らなくなった。
「…なのは」
机の天板をなでる。ああなんかちょっと自分気持ちわるいな、と嫌なきぶんになる。

明日になったら彼女は待ち合わせの道で、おはようフェイトちゃん、と笑って手をふってくれるのに、何故こんなに不安なんだろう。
寂しさって、どうしてこんなに突然に、まえからここにあったようなすがたで沸いてくるんだろう。

「フェイト?」

どのくらい、そうやってぼんやりしていただろうか。思考は、聞きなれた声によって唐突に中断する。

「アリサ」

「すずか、まだかかるみたい。図書室まだミーティングしてた」
「そっか」

アリサはつかつかと肩で風をきるみたいな歩き方で今はフェイトが座っているなのはの席の向かいの机に腰掛け、上履きの足をぶらぶらさせながら
「アンタ、カルシウム、足りないんじゃないの」
と、おもむろに言った。
「そうでなかったら血糖値でも下がってるんじゃないの」

「そんなことないよ?私、苛々してるように見えるかな」
そう口に出して言った自分の声が妙にかすれて、なんて説得力が無いんだろう、と思った。

「してないと自分で思ってる?」
あきれたような、怒ったような口調。
「質問に質問を返すのは失礼だよ、アリサ」
「あんたも言うようになったじゃないの、フェイト」

フェイトは少し考えて、ありがとう、と言ってわらった。
わずかに上がる口角と、同時にきゅ、と寄る眉根に、アリサは目をすがめた。

「あたしね、いちごミルクって嫌いなのよ」
「…どうしたの、突然」

「ここで言ういちごミルクって言うのは、あのよく紙パックで売ってるピンク色した乳製品の事ね。あれ、なんだかすごく小馬鹿にされてる気がするのよね。果汁も入ってない場合がほっとんどなのに、うすピンク色をつけて苺味のにおいをつけて甘くすれば苺ミルクを名乗れると思っちゃってるのが気に入らないのよ」
なんで飲むヨーグルトの苺味はいいセンいってるのに、いちごミルクっていうとああなっちゃうのかしらね。

「まあ、でもほら、売店では必ず売ってるし…。買う人がいるから売ってるのであって、そういうのって、好みなんじゃない…かな」
「でもあたしは気にいらないのよ」
憮然とした調子で言うアリサ。

「アリサこそ…何か嫌な事でもあったの?」
「ええあるわ。おおありだわ」

朝歯を磨こうとしたら口内炎をみつけたこと、今日の体育の水泳が生理で入れなかったから400mの補習水泳が言い渡された事、最近スカートがキツイこと、すずかがまたしらないやつから手紙もらってきた事、来週の家庭科の調理実習で割烹着を着なければならない事、その他もろもろ。まくしたてるように言った。

「我ながら、どってこと無い事だってわかってるけど」

ほんとうにどれもこれもが、本人同様聞かされたフェイトのほうも反応に困るほどのとるに足らない出来事だった。しかしどれもささやかではあるものの、不快な事に変わりはない事は確かだった。

「まあ…でも、いやなことにはかわりないよね」
「でしょう」

「そんなわけで、あたしはいちごミルクの存在も、そのいやな事の一つなのよ」
だからあげるわ、と言ってアリサは、フェイトの前にピンク色をした四角いパッケージを置いた。

いちごミルク。
パッケージには安っぽい苺のイラストとともに、そんな文字が並んでいる。

「甘ったるいばっかりで、どこが美味しいのかわかんないわ」
「なんで?」
なぜ今までひたすらいちごミルクの存在を否定しつづけてきたアリサがいちごミルクなんて持っているんだろう。

「なんでって、あんたが苛々してるからでしょうが」
カルシウムと血糖値、いっぺんに上げるならこういうのがいいんじゃないかと思ったのよ。

「苛々、してるかな」
「してるってあたしが言ってるの」
「なんでだろう」
「そんなの、なのはがしばらく仕事で学校きてないからでしょうが」
「…うん」
そうなんだ。寂しくて、会いたくて、心配で。ホントはいつでもそばにいて、そしてあのこの力になりたくて。絶対、傷つくようなことはしてほしくなくて。

「その席に座って、何かいいことあった?」
「私の席がよく見えるね」
「…まあ、そうよね」
教室は今、アリサとフェイトの二人しかいない。

「私の席からも、なのはの席がよく見えるんだ」
今日はいなくても明日会える。明日は会えないかもしれないけど、きっと私のところに帰ってきてくれるんだから、だいじょうぶ、だけど。
「今日はちょっと、寂しかった、かな」

「ほら、あんたも結局小さな事で苛々してたんじゃないの」

「うん、ほんとだ」

アリサはちら、と腕時計を見た。
「おっと、もうこんな時間。もうすぐすずかが戻ってきちゃうから、早く飲んじゃいなさい。あんたの分とあたしの分しか買ってこなかったのよ」
と、自分はコーヒー牛乳の茶色いパックを取り出してストローをさす。

「うわ、ぬるっ そして甘…!コーヒーに対する冒涜行為だわっ」
「え、じゃあ私はこれ、持って帰って冷やしてから飲むよ」
「ちょっと、あたしの心遣いになんてことするのよ。これじゃあたし一人が貧乏クジじゃないの」
「…しょうがないなあ。じゃあアリサのお心づかい、今いただく事にするよ」
「心して飲みなさい」
それで、その浮かない顔をなんとかすること。

アリサの言ったとおり、それはすっかりぬるんで、余計に甘さがべとべととしつこい。
まるでうざうざと悩んでいる自分のきもちみたいにべとべとしている、とおもったので、思い切って一気に飲み下した。
こんないやなきもちなんてはやくなくなってしまえばいいんだ、そう思って。


Fin


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